彼らの姿に思うこと

かわいい!と手放しで言いたい。
向こうに罪はなく、かわいいと思う私の心にも罪はない。
生まれちゃったか・・・
特定外来生物、をちゃんと調べようとして環境省のサイトを見たら、まさにアライグマの絵を使って説明がなされていた。
日本の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種ということになっている。
もちろん、かわいい!と餌やりもダメ。
そして、鳥獣保護法で守られてもいるので、狩猟免許を持たない私が捕獲することも出来ない。
国立環境研究所のサイトによよると、国内のアライグマは、60年前に動物園から集団で逃げた12頭に由来し、例のアニメで飼育ブームとなり、それらが放たれたり逃げたりして野生化したとのこと。
自然分布の北米~中米と気候も合ったのだろうか。
このアライグマは、うちの前の空き家で生まれた子達に違いない。
近隣には、ご両親が他界されたり施設に入ったりして、お子さんたちは遠方で、といった理由で放置されている空き家が多く、植物は自由に繁茂し、動物の棲家にもなっている。
前の家には何種類の動物が住んでいるか分からず、正直、どの図鑑にも載っていない哺乳類を見たこともある。
特定外来生物を見つけたら、市役所に捕獲依頼をすることも必要だが、前の家には既に役所によって罠が仕掛けてある。
空き家、外来生物、獣被害・・・数歩先に社会問題が詰まっているのだが、自分が出来ることは僅かすぎる。
引っ越してきてすぐ、付近に動物の気配がしたので、縁の下に入り込まれないように金網を巡らせた。サンダルはくわえて持っていかれるので、夜は屋外用の履物も全て屋内に取り込むようにした。せいぜいその程度のことだ。
空き家は間違いなく獣の繁栄、それに伴う獣被害に加担していると思う。
もう少し大きなレベルで見ると、大都市とは条件が違うけれども、いわゆる山村と言われるところにおいて人の手が入らないことによる危険は、獣の被害と種の絶滅、という二つの方向性があると習った。
人が暮らす里山とその奥にある後山、その間には草地があって、昔はその草地エリアで落葉の堆肥などを作るために人々が頻繁に出入りすることで、後山との緩衝地帯になり、動物などが出てきずらかったという。しかも、現在絶滅危惧種の植物などは、その草地エリアにあることが多かったという。
それにしても、人が減るのに開発し過ぎ、集合住宅立て過ぎでは?
将来それらを維持管理していく人手はあるのか?
アライグマ親子の姿に、色々な問題を考えてしまいました。
そして、雨の闇夜に消えていく彼らの姿に、罠にかかるなよ、とどこかで思ってしまうのでした。