絶滅について〜最近の新聞記事から
「絶滅」という言葉にどうしても敏感に反応してしまう。
つい先日、絶滅したリョコウバトをテーマにした版画を刷り終えたばかり。見ることが出来ないのだと思うと、気になってしまう。見ることが出来るうちに、気にしないといけなかったのに。
二週間ほど前のものだが、新聞に出ていた動植物の絶滅危惧関連の記事を。
スズメやオナガの減少が著しい、というものと、絶滅危惧種のオニバスがとあるため池で爆増したというもの。
スズメ記事には、スズメやオナガの減少の原因は、里山の荒廃やシカの食害、ネオニコチノイド系農薬が考えられると書いてある。つまり、人間由来が大きい。
オニバス記事には、爆発的に増えた原因は、不明ではあるものの、ため池の水路関係の施設修理の際の水抜きで池が干上がり、泥の中に眠っていた種子が空気と日光に触れたためではないかとのこと。こちらは人間の都合による作業でたまたま増えた。(しかしため池を使う農業従事者も高齢化で減少しているので、ぬか喜びは出来ないという趣旨のことも。)
前者は人間の行動を考え直さねばという警告で、後者は予期せぬ幸運を喜ぶ記事。
地球の野生生物が過去50年で70%弱減少しているとも言われる。
地球は温暖化などしていないし、プラごみなんかが地球環境を脅かしてなどいないという意見も、実際に外国人の知人から聞いた。超・長い目で見れば、氷河期の間なのだから温度が上がるのは当たり前で、数万年すればまた地球は寒くなるという意見も見た。
それらの意見が正しいのか、私には判断が出来ないけれど、世界的な潮流である「温暖化など、人間の活動による被害が、自然環境に甚大な被害をもたらしている」という意見が間違っている、ということは考えにくい。
しかし同時に、SDGsを掲げる企業のこととか、地球環境を守るための色々な国際的な認証(例えばパーム油ならRSPO認証、森林ならFSC認証など)が、どこまで信用出来るのか、というのも私には分からない。
大企業の、利他的な顔をした利己主義は多分すごいのだろうし、国際的な認証みたいなお墨付きを得るために、途上国に何かを無理強いしていることもあるのかもしれない。
と考え出すと、もう分からないことだらけなのだ。
でも、ちょっと希望を持てる文章も、環境省の生物多様性白書から見つけた。「世界で確認されている生物の種の総数は約175万種であり、まだ知られていない生物も含めた地球上の総種数を500万~300万種とすると、6~35%しか確認されておらず、世界の野生生物は依然として未知の部分が大きいと言えるでしょう。」これは平成25年版なので、現在は数字に変動があるはずなものの、私たちが把握している生物種は一部でしかないということに変わりはない。種の存在が知られる前に絶滅しているものもあるし、新たな種が生まれていることもあるのかもしれない。
ちなみにヒト種の保全状況は “Least Concern”(低危険種)。ヒトがヒトの絶滅を心配する時は来るのだろうか。