きのこの一生

過去問題を練習している時「きのこの生活環境について300字以内で説明してください」というのがあり、素直に生活環境についてあれこれ書いて答え合わせしようと見たら「生活環境」でなく「生活環」についての回答だった。生活環境について書くとしたら多分、森林におけるきのこの役割に触れるような話になるし、生活環について書くとしたら、きのこの一生について書かねばならないので、かなり違った答えとなる。きのこの問題なら「生活環境」と書いてあったとしても、「生活環」だとして回答するべきか。実際の試験でこの問題文に出くわしたら迷うだろうな。挙手してどっちのことかなどと質問するのは勇気がいる。

しかし「生活環」について答えねばならなかった場合、自分の回答があまりにもお粗末だったので、ここで再度メモしながら確認したい。

私たちが日頃食べているきのこは、子実体という部分で、花で言うところの花。そこから飛び出す胞子は、花でいうところの花粉。胞子の数は数億個であり、空中に飛び出して、最適な環境に定着出来たほんの僅かな胞子が発芽し、菌糸を作る。この菌糸は一つの核を持った一核菌糸(一次菌糸)である。それが遺伝的に異なる別の胞子から発芽した一核菌糸と出会い接合することで二核菌糸(二次菌糸)となる。しかしこの時はまだ、一つの細胞内に二つの核が存在しているだけ。そこから成長を続けた二核菌糸は、植物の遺体などの組織を分解しながら栄養成長を繰り返し、環境や栄養条件が整うと、きのこの元「原基」を作る。それが肥大成長して「子実体」ができる。細胞内の二つの核が融合するのは、この子実体が菌糸からの養分供給により成長して再び胞子が出来る時。その胞子は風雨や動物により飛散して、また新たに定着した先で発芽する。これがきのこの一生=生活環である。

キノコを形成する主な三種類の菌についてもメモ。

1)腐生菌:有機物(落葉・落枝、地中に埋もれたもの)を分解、リグニンやセルロースも分解:ムラサキシメジ、ツクリタケなど。
2)菌根形成菌:植物の根に菌根を作り共生する:マツタケ、ホンシメジなど。人工栽培出来ないもの。
3)木材腐朽菌:木材を腐らせて土に栄養を与える:シイタケ、エノキ、ヒラタケなど食用キノコの多く。

ついでに、毒キノコに関する問題もたまに出るのでメモ。

キノコの同定は難し過ぎて、自分で採って食べることはハナから放棄しているが、致命的な毒キノコは少なく、多くは胃腸障害程度らしい。でもやはり怖い。カエンタケのようなものなら、見分けがつくので避けられるが、それ以外は正直わからない。

猛毒の代表としては、ドクツルタケ、シロタマゴテングタケ、ドクアジロガサタケ、など。その他にも多数。

誤食した場合の対処:大量の水かぬるま湯などを飲み、喉の奥に指を入れて吐き出す。何度もやる。吐いたものはビニールに入れて病院を受診する際に持参。

迷信のようなものは忘れること。(派手なのは毒だとか、地味なのは無毒だとか、虫や動物のかじった跡があれば安全だ、などというもの。ベニテングタケはリスやシカが食べる。)

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