2026年6月のメモ「映画『熊の出る開墾地』の上映会に参加して」

お世話になっているサイレント映画のピアニスト、柳下美恵さんの「ピアノdeフィルム」を見に行ってきました。

今までタイミングが合わず、最終回の今回なんとか伺うことが出来て良かった!!(柳下美恵さんは、日本ではとても珍しい無声映画伴奏者として長く活動されている方で、私はそのような職業があることも以前は全く知りませんでした。シネマリンでの企画は今回最後ですが、今後も色々とイベントがあるようなので、ご興味ある方検索してみてください♪)

場所は大学時代以来の横浜シネマリン、懐かしかったです。

このイベントは無声映画にピアノ生伴奏が付くという非常に贅沢な企画で、しかも今回上映の映画は1932年製作、鈴木重吉監督「熊の出る開墾地」というもの。

さらに!上映後のトークイベントには日本クマネットワークの小池伸介先生がお越しになるという贅沢。(小池先生は昨今のクマ被害へのコメントなどで、テレビでご存知の方も多いかと思います。)

◆先ずはピアノの感想から〜

100分以上のサイレント映画に即興で伴奏を引きっぱなし・・というのは本当に匠の技!!だと思いました。

音楽が付くことで、明らかにサイレント映画に奥行きが生まれていました。

楽しい場面、悲しい場面、緊迫した場面、、それぞれに本当に合った音楽が奏でられ、しかもとても自然だったので良い意味でそれがピアノの生伴奏であることを忘れてしまいました。

◆映画のほうは、タイトルには熊がついているものの、実際の映像として熊は出て来ませんでした笑

しかし舞台は北海道の農村。「熊が出たぞーぅ」という声は、村人にとって一大事であり、ヒグマの脅威がどれだけだったかを物語っています。こちら当時のチラシ↓なんとも素敵な書体です。

◆そして小池先生のお話について。

小池先生は大学で教鞭をとるかたわら、日本クマネットワークという団体の代表を務められ、クマに関する教育活動などもされています。

熊について大事なことは、熊を知ることで過度に恐れない、過度に可愛がらない、ということだとのこと。

昨今の熊への対策については、人間の活動場所に出てきてしまった熊をどうするかというのは「対策」ではない、いかに人間の場所に来させないか考えるのが「対策」だとおっしゃっていました。

そして何より、熊は賢いので「嫌な記憶」を植え付けることが大事だとも。人間の場所に行ったら嫌なことがあった・・例えば犬に追いかけ回されたとか、人間に狩られそうになったなど、そういう経験をさせる必要があるそうです。なので、私たちが出来ることはやはり、山を歩く時は鈴をつけて熊にとって嫌な音を出すとか、最悪出会ったら唐辛子スプレーをかけるとか、そういうことだそうです。

また、これは森林インストラクターの勉強でもよく習ったことですが、とにかく昨今は熊の棲息地と人里のバッファー(緩衝地帯)がないことの問題も指摘されていました。

この緩衝地帯を復活させるのは、過疎化の問題等も絡んでいることなので多分容易なことではないのでしょう。人手も時間も、あるいは日本人の生活スタイルさえも変えていく必要がある話になるのだろうと思います。

映画のアフタートーク後に、映画館のロビーで交流会があったので、頑張って参加してみました。

そこで小池先生に、私が森林の勉強を始めるきっかけとなった出来事について質問させて頂きました。(きっかけについては2024年の7月30日に投稿

猪の罠にかかった熊を放す場所がないから捕殺というのは、他にやりようが無かったものなのか?と。

すると、それにはやはり行政側で難しい問題があるのだそう。この辺りだとすべて清川村が受け入れを担当しなければならないのだそうで。色々な問題が絡み合っていて、私が想像していたような簡単な解決方法は無いようでした。

そうか、熊以外のことでも私たちの生活では、同じところに不都合な何かを押し付けている現状があるのだった・・・ということが思い出されました。

その他にも先生と少し熊関連で質問をさせて頂き、とても貴重な時間でした。

今後も個人的に熊を含む自然の勉強は一生続けて行きたいと思っているので、良い経験となりました。

私のような山歩きで熊被害にあうことはあまりないようですが、やはり鈴とスプレーの携帯は続けます。個人的に最近始めたこととしては「剥製と対峙する」です。私は、もし至近距離で熊と遭遇したら、腰が抜けたり慌てふためいて、スプレーは取り落として使えない自信があります。なので、少しでも熊に慣れるべく、博物館で熊の剥製を見る度にその正面に立ち、顔を至近距離に近づけてじっと目を見て耐える練習というのをやっています。完全に怪しい行動ですが、その辺はもう最近どうでもよくなっているので。

最近練習した博物館にあった剥製↓

1枚目の牙をむいた剥製は、少し遠かったのですガラスケースに入っておらず、じっと対峙していると緊張してきました。

2枚目のこちらは、顔はキョトンとしていますが爪の鋭さが恐怖を感じさせます。

3枚目は熊の頭骨↓

ちなみにこちらの剥製二体、頭蓋骨は宇都宮の芳村野鳥自然博物館に展示されていたもの。鳥の剥製を目当てに見に行ったのですが、鳥以外のものも大変素晴らしく、なぜこんな見応えのある施設があまり有名ではないのかと疑問に思うほど。おすすめの施設です↓

しかし私の怪しい練習もあながち的外れではないようで、前述の日本クマネットワークでは「トランクキット」の貸し出しを行っているそうです。スーツケースに熊を体感できるもの(例えば毛皮や頭蓋骨、うんちの模型など)と、熊鈴やスプレーなどが入っており、学校教育の場などで活用されているようです。やはり体感する、知る、は大事なようです。

おまけの話・・その後、市内で1階が鳥料理で3階が剥製屋というこちらの店を見つけ、おそるおそる階段を登っていったのですが・・「もうやってないんです」とのことでした↓↓熊はあったろうか。

2026年6月のメモ「映画『熊の出る開墾地』の上映会に参加して」” に対して2件のコメントがあります。

  1. 柳下美恵 柳下 より:

    お忙しい中お運びくださり本当にありがとうございました。大半の方が映画ファンで熊にそれほど食いつく方はいないだろうという想定でロビートークはお願いしなかったのですが、こんなに深掘り質問をして下さる方がいて嬉しかったです。こちらのブログで私が聴き落としていたことも分かりましたし、剥製の熊に対峙して訓練する!博物館や剥製屋さんのお話も興味深く拝読しました。虎猫図案さんの作品の原点はまさに森にあることが今回のことでさらにわかりました。どうも有難うございました。

  2. toranekozuan より:

    柳下様> 長文投稿読んでくださって、また、コメントも有難うございます✨昨今多くの方が「熊」というワードには敏感になっているでしょうから、とても良い企画だったと思います。柳下さんもおっしゃっていたように、アイヌをはじめ、歴史的には熊は日本人にとって神という位置付けでもあったので、皆で考えて知っていくことは大事なことですね^_^

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